私が18歳の頃に体験した脱保湿の記録です。
この記事は以前、はてなブログにて掲載していた記事を必要に応じて最新の現状を付け加え、再掲載しております。その際、元記事は打ち消し線で訂正してありますので、一度読んだことのある人もその後の様子がわかるかと思います。興味のある方はぜひもう一度再読していただけたらと思います。
状態の悪化と脱保湿を始めるまで
私は短期大学へ進学しました。学科は栄養学科。
アトピーと食事は密接につながっていると思っていたので、栄養の勉強がアトピー解決の糸口が掴めないだろうか……と思ったのです。
自宅から電車とバスを乗り継いで1時間半ほどかかる道のりですが、ぼうっと乗り物に揺られているのは苦ではないので気になりませんでした。
しかし、初めての短大生生活、高校とはまた違う授業スタイルで疲れが溜まってしまったのでしょうか?
ゴールデンウィーク後にアトピーが酷くなってしまいました。
これまでも一日に何度も保湿液を塗ってやり過ごしていた肌が全然潤わない。
どれだけ保湿してもバサバサ、ガサガサしていて、皮膚が硬く感じます。
まさに砂漠状態。
潤わないと肌が硬くなってまぶたなんかは動かしにくくなってしまいます。
それに加えて顔が見事に真っ赤なんです。
年齢的にも多感な時期、こんな見た目で学校になんて行けない…となった私は学校を休んで少し休養し、ネットで皮膚科を探します。
その頃の私は「ステロイド=恐ろしい薬、リバウンド」という認識が強かったので普通の皮膚科は避けていました。
そして運良く短大に近い非ステロイドの皮膚科を見つけました。
そこは脱保湿という治療法を推しているところでした。
受診してみた
何故か体もぐったりしていて、父の車の後部座席で横になりながら病院へ行ったことを覚えています。
いざ初診!と思いきや、受付の人から一言。
「この本を一度読んでからまた来てください」
初診って「これで良くなるかも…!」っていう小さな希望を抱いていることが多いので、本だけ買わされて問診すらされず帰らされたことはかなりショックでした。
泣きながら帰ったことを覚えています。
そして真面目に一読し、次回の受診に備えました(予約制ではなく先着制だったので結構朝早くから家を出発したことを覚えています)
2度目の受診(とはいえ初診)は母と電車で行ったのですが、帽子を目深にかぶって人から見られないようにしていました。
先生はなかなか厳しい人でした。サバサバとした人といえばいいのかな。
乳首に炎症が出たときにステロイドを使った話をすると「ステロイドが悪いと分かっていたのになんでまた使ったのか」とものすごい剣幕で怒られました……。
まだ18歳の若造だった私は、他人に初対面でこんないきなり叱られたのは初めてだったので、びっくりしてしまってポカーンとしてしまいました。
でもね、インフルエンザだったらタミフルじゃん。咳をしたら咳止めじゃん。日本の医学ではアトピー治療にはステロイドが標準なんだから、ステロイド処方されたら使うでしょ。
とにかく保湿のしすぎで自力で保湿する力がなくなってしまったそうです。
そのため、保湿を一切やめること。
保湿しないと初めは顔がバリバリに乾燥するけど、それによって自分で皮脂を出すことを忘れていた肌が保湿しなきゃって気づき、治っていくということだそうです。
今日から1週間は入浴など皮膚を濡らすこともダメ。
炎症がひどく出る部分にはイソジンで消毒をし、亜鉛化軟膏やモクタールを塗ること。
当然痒みも出てくるので、その際はアレロックやジルテックなどの内服薬を飲んで抑えるとのこと。
その治療法を聞いた私は大泣き。
これから楽しい女子大生生活が始まると思ったのに、顔がバリバリになるなんて。それが嫌でこれまでこまめに保湿してきたのに。
そして私は「やりますけど、それなら家から出ません!」って謎宣言を医師にしてきました。
治療の経過
医院から帰宅し、早速その日から脱保湿を開始しました。
するとその夜から炎症はひどくなり、顔中から汁が出るようになりました。
もう恐怖です。
イソジン消毒や亜鉛化軟膏、モクタールでは炎症がおさまる気がしません。
全ては気休めなのか…。
そして期待していた痒み止めたち。
痒み止め(今や市販でも売られるようになった抗アレルギー薬)は何種類かあり、そこから自分に合うものを見つけるよう言われたのですが、薬品名だけの表を見せられて何かなんだかわからん。
自分の好きなパワーストーンでも選ばされるような感じだったので、本当に当てずっぽうに選んだアレロックとジルテック。
残念ながらその時は全く効果を感じられませんでした。
一部の湿疹から出なかった浸出液が各所から出るようになって心配だったのですが、医師より「汁はステロイドを出している証拠」「好転反応」と言われていました。
身体的症状もキツかったのですが、同じようにしんどかったのが精神面でした。
皮膚が割れて鱗みたいになるのを隠すため過剰な保湿をしてきたのに、これでは学校どころか外へも出られない。
自分の心の弱さも嫌になって、ニット帽を目深にかぶって近くのスーパーに出ていくこともしてみましたが。みんなが自分のイグアナみたいな顔を見ている気がして怖くて泣いてしまいました。
なぜかものすごく疲れ、今まで乾燥を感じていなかった二の腕なんかもガサガサになって切れたりしてきたので、1週間はほぼ寝たきりで過ごしました。
初めの1週間は完全に外からの水分を避けるよう指導されていたので、お風呂も禁止されていました。母が水のいらないシャンプーで頭を洗ってくれたこと、父が元気付けるためにケーキを買ってきてくれたことが強く記憶に残っています。
1ヶ月ほど経ってやっと普通に近い肌になることができました。
ただ、依然として乾燥肌は変わらず、顔の皮膚(特にまぶた)は掻くと毎晩脱皮するように全体的にパラパラと剥がれます。
ちなみに掻かなくても表皮がパリパリに割れて鱗のようになるのでもう意味がわかりません。
超早いターンオーバー、毎日がピーリング。
まぶたの赤みも変わりませんでしたが、受診前に悩んでいた顔が全体的に赤いという症状はなくなりました。
厄介なことに、この頃を機に毎晩寝る前になると顔がムズムズしてきて、叩かないとやってられない状態になっていました。
長くて1時間程度、結構な強さで叩きます。
脳震盪が起こるまで叩いていました。
多分「掻いてはいけない」という思いが叩く行為に代わったと思うのですが、叩いてるとますます乾燥が進んで、下手すると叩いた反動で皮膚が割れたりしていました。
脱保湿治療の結果
結果、短大に入る前の状態に戻りました。
元のアトピーに戻った感じです。
掻かないようにするがあまり、顔を叩くようになってしまったのが残念な点です。
この脱保湿推奨の皮膚科は数回通って辞めました。
待合室から暗い雰囲気(私より重症そうなアトピー患者さんたちがたくさん)で、医師も受付の人もなかなかスパルタ……。
厳しい感じであまり通い続けたいと思えなかったのが一番の要因かもしれません。
その後は乾燥の強い、痒み肌を持ちながらもなんとか誤魔化しつつ生活し、生活も充実していたので特に皮膚科にかかることもなく、生きていくことができました。
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